1. 主な環境法とその体系

環境基本法の位置づけ

~環境基本法の理念を踏まえて個別法が規制~

「環境法」という確定した定義や体系はありませんが、一般に、環境保全の基本理念を定めた法律である「環境基本法」を中心に、公害、廃棄物・3R、地球温暖化、化学物質、自然環境保全などの分野に関する法令が「環境法」と呼ばれています。

「環境基本法」は、国の環境政策の基本的な方向を示す法律です。「環境基本法」では、「国は、~のため必要な措置を講ずるものとする」「国は、~のため必要な措置を講ずるよう努めるものとする」など、国に対する要求事項が規定されています。「環境基本法」に基づき大気、水質、土壌、騒音などについて環境基準が定められています。国はこれらの環境基準をクリアし、環境基本法の理念を実現するために、個別の法律によって法人・個人に様々な事項を要求しています。

個別法1:公害関連について

「環境基本法」では、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭の7つを公害としています。

事業所に対しては、「大気汚染防止法」が排出・飛散する大気汚染物質について、「水質汚濁防止法」が排出水と地下浸透水について、それぞれ物質の種類や施設の種類・規模ごとに排出基準を定めています。「土壌汚染対策法」、「騒音規制法」、「振動規制法」、「ビル用水法」(地盤沈下)、「悪臭防止法」などによる規制もあります。

個別法2:廃棄物処理・3Rについて

~廃棄物処理法は年々強化~

廃棄物処理については「循環型社会形成推進基本法」の下、「廃棄物処理法」が排出事業者や産業廃棄物処理業者の責務を定めています。産廃の保管や処理については委託も含め厳しい規制基準があります。特に法人が産廃を不法投棄すると3億円以下の罰金に処されます。産業廃棄物の排出事業者は、その収集運搬・処分を他人に委託する場合は、産業廃棄物管理表(マニフェスト)を交付することが義務付けられています。

3Rに関しては、再生資源のリサイクル全般を定めた「資源有効利用促進法」のほか、個別法の「容器包装リサイクル法」、「家電リサイクル法」、「小型家電リサイクル法」「食品リサイクル法」、「建設リサイクル法」、「自動車リサイクル法」などがあります。

個別法3:気候変動・地球温暖化について

地球温暖化対策は「温対法」で定められており、CO2等の温室効果ガスを多量に排出する事業者は、排出量を算定して国へ報告する義務があります。

省エネについては、「省エネ法」により工場等、輸送、機械器具についてエネルギー使用の合理化に関する措置、電気の需要の最適化に関する措置を定めています。また、エネルギー使用量が一定以上の事業者には中長期計画の提出や定期報告が義務づけられています。加えて、

建築物の省エネ化については、「建築物省エネ法」で定められています。令和7(2025)年4月施行の改正で、用途や面積にかかわらず、原則として全ての新築建造物に省エネ基準への適合が義務付けられました。

個別法4:化学物質について

化学物質対策については、「化学物質審査規制法」が新規化学物質の事前審査などによる環境汚染防止について、「化学物質排出把握管理促進法」がPRTRとSDSによる事業者の自主管理について定めています。

自然環境保全などのその他の個別法

自然保護の分野では、「生物多様性基本法」の下、「自然環境保全法」、「自然公園法」、「鳥獣保護管理法」、「種の保存法」、「外来生物法」などによる規制があります。

また、「環境影響評価法」は、大規模で環境に大きく影響する事業の実施にあたり事前の影響評価を行うことを求めています。このほかにも、「環境配慮契約法」や「環境教育促進法」などがあります。

このように、日本の環境法は「環境基本法で国の政策の方向性と環境基準を定める」「環境基本法の理念と環境基準の達成のため、個別の環境法で法人・個人に義務を課す」という仕組みとなっています。
次章以降は、本章でご紹介した個々の環境法による規制を解説します。

📚 参考:環境基準・法令等(環境省)http://www.env.go.jp/law/index.html