3. 水質汚濁防止法による排水・地下水規制と事故時の措置とは

排水規制とは~有害物質と生活環境項目の基準遵守を求める

「水質汚濁防止法」は、河川や海などの公共用水域と地下水の水質汚濁を防止するために、昭和45年に制定されました。また、工場などにおける事故時の措置も定めています。

排水規制については、洗浄や製品の製造などに用いる特定施設を設置する「特定事業場」からの公共用水域への排水を、基準値以下の濃度にすることを義務づけています。排水基準による規制対象は、人の健康に係るカドミウム・鉛・塩化ビニルモノマーなどの「有害物質」と、水の汚染状態を表す生物化学的酸素要求量(BOD)などの「生活環境項目」に分けられます。このうち有害物質については排出するすべての特定事業場に基準が適用され、生活環境項目については1日の平均的な排水量が50立方m以上の特定事業場に基準が適用されます。工場等から排水を排出する者は、原則年1回以上、汚染状態を測定し、その結果を記録して3年間保存する義務があります。

基準を超えた排水を排出するおそれのある事業者は改善・一時停止命令の対象となり、命令に違反した場合は罰せられます。また水質基準を超える排水を排出した場合は、命令を経ずに罰せられます。

排水規制には地域差がある点も要注意です。排水基準には、国が定める「一律排水基準」、都道府県が条例で定める「上乗せ排水基準」、東京湾などで一定規模以上の事業場に適用される「総量規制基準」の3種類があります。水質汚濁防止法は1日の平均的な排水量が50立方m未満の事業場に基準を適用しますが、自治体が条例により排水量のすそ下げを行う場合があります。また法では規制対象としていない汚染物質や業種に対し、条例で基準を定めるいわゆる「横出し基準」も存在します。事業所の位置する都道府県や市町村に、「上乗せ・すそ下げ・横出し」の規制がないか、自治体に確認してみると良いでしょう。

地下水汚染や事故対策も

地下水汚染対策は、平成24年に開始された規制です。前述の有害物質による地下水の汚染を未然に防止するため、有害物質を使用・貯蔵する施設の設置者に対して、地下浸透防止のための構造・設備・使用等に係る方法に関する基準の遵守や、定期点検及びその結果の記録と保存を義務づけています。この改正では、従来から届出対象だった施設に加えて、「有害物質使用特定施設」と、有害物質を液状で貯蔵する「有害物質貯蔵指定施設」が届出の対象となりました。対象となる施設は地下浸透の防止などを定めた厳しい基準をクリアする必要があり、定期点検やその結果の保存などの義務もあります。

 一方、水質汚濁防止法は、施設で破損等の事故が起きて有害物質等が公共用水域や地下に漏えいし、人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれがある時には、事故時の措置をとることを義務づけています。具体的には、応急の措置を講じるとともに、事故状況等を速やかに都道府県知事等へ届け出なくてはなりません。措置の対象となるのは、特定事業場からの漏えい、指定施設を設置する指定事業場からの漏えい、そして貯油事業場等からの漏えいです。これらの事業場の設置事業者が事故時に応急措置を講じない場合には都道府県等が応急措置を講ずるよう命じ、違反すると罰則が科せられます。

有害物質規制は年々強化~省令等の改正動向もチェックを

水質汚濁防止法による規制は年々強化されており、なかでも有害物質に対して厳しい規制が行われています。有害物質の排水基準は「排水基準を定める省令」により定められ、同省令及び同省令の改正省令により、規制値の強化や対象業種の設定、暫定排水基準の延長などが行われます。

また、事故により公共用水域への排出や地下浸透することで人の健康や生活環境に係る被害を生ずるおそれがある「指定物質」は数が多く、有害物質よりも頻繁に追加が行われています。令和4(2022)年にはPFAS、PFOA等4物質が追加されました。

このように排水・地下水規制と事故時の措置については、規制の新設や強化が法令に加えて条例によっても行われるので、有害物質等を取り扱う事業者は規制改廃の動向を注視する必要があるのです。

📚 参考:水・土壌・地盤・海洋環境の保全(環境省)http://www.env.go.jp/water/mizu.html