9. 土壌汚染対策:土壌汚染対策法による汚染土壌調査の実施と管理義務
土壌汚染対策法の概要と特定有害物質の種類
「土壌汚染対策法」(土対法)は、土壌汚染の状況を把握し、それによる人の健康被害を防止するための措置を定めることで、土壌汚染対策の実施を図ることを目的としており、平成15年2月に施行されました。土地の所有者等に対して特定の機会に土壌汚染調査を義務づけ、調査の結果、汚染が確認された土地は「要措置区域」等に指定され、必要な管理を義務づけるとともに、汚染土壌の搬出等に厳しい規制を課しています。
規制対象となる「特定有害物質」は、土壌に含まれることで人の健康に関する被害を生ずるおそれのある物質のことで、施行令により、カドミウム、六価クロム、鉛、ヒ素、トリクロロエチレンなど26物質が定められています。
土壌汚染状況調査の実施と汚染除去等の措置
土対法は土地の所有者等に対して、一定の機会に該当する場合に土壌汚染状況調査の実施を義務づけています。一定の機会とは、①有害物質使用特定施設の使用の廃止時、②3,000㎡以上などの土地の形質変更の届出の際に土壌汚染のおそれがあると都道府県知事が認めるとき、③土壌汚染により健康被害が生ずるおそれがあると都道府県知事が認めるとき―の3つの場面です。ただし、工場として継続して操業を続ける場合などには①の調査が猶予されます。
土壌汚染状況調査を行った結果、基準に該当しない場合には、都道府県知事が「要措置区域」又は「形質変更時要届出区域」として指定し、公示します。要措置区域は、汚染の摂取経路があり、健康被害が生ずるおそれがあるため、汚染の除去等の措置が必要な区域のことで、汚染の除去等の措置を都道府県知事が指示します。要措置区域では土地の形質変更は原則として禁止されます。また、形質変更時要届出区域は、汚染の摂取経路がなく健康被害が生ずるおそれがないため、汚染除去等の措置が不要な区域のことで、摂取経路の遮断が行われた区域を含みます。形質変更時要届出区域では土地の形質変更時に都道府県知事への計画の届出が必要です。いずれの地域でも、汚染の除去が行われた場合には指定が解除されます。
なお、先述の①の調査が猶予されている土地で、900㎡以上の形質変更を行う場合などは、あらかじめ届出が必要です。さらに、有害物質使用特定施設を設置中に900㎡以上の土地の形質変更をする場合なども、届出が義務付けられています。
環境省の「令和4年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果」によると、土対法に基づく1576件の土壌汚染状況調査結果が報告され、調査の結果、土壌の汚染状態が指定基準を超え、要措置区域に指定された件数は93件ありました。また、形質変更時要届出区域に指定された件数は497件でした。
要措置区域等からの土壌搬出を厳しく規制
要措置区域や形質変更時要届出区域から土壌を外部へ搬出する場合には、着手日の14日前までに届出る必要があります。また、計画の変更命令、運搬基準に違反した場合の措置命令並びに汚染土壌に関する管理票の交付及び保存義務などの厳しい規制があります。土壌の搬出は、許可を持つ汚染土壌処理業者に委託して行わなくてはなりません。また、汚染土壌に関する管理票の交付及び保存の義務もあります。
土対法以外の土壌汚染に関する法制度としては、「環境基本法」に基づく土壌の汚染に係る環境基準(告示)があり、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準と、その達成期間等が定められています。
一方、農用地における土壌汚染を防止するために、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」(農用地土壌汚染防止法)があり、特定有害物質としてカドミウム、銅及びヒ素が指定されています。
📚 参考①:土壌関係(環境省)http://www.env.go.jp/water/dojo.html
📚 参考②:農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に基づく対策(農林水産省)http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_cd/2_taisaku/02_law.html
