4. 廃棄物処理法・廃棄物の種類と排出者責任、マニフェスト制度
産廃の種類とは?~法令の区分に該当するかどうかがポイント
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)は、旧「清掃法」を全部改正して昭和45年に公布されました。廃棄物の処理責任を明らかにするとともに、処理や保管などを規制することで、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的としています。同法は廃棄物を、事業活動に伴って発生する産業廃棄物(産廃)と、それ以外の一般廃棄物(一廃)に分けています。産廃の処理責任は排出事業者に、一廃の処理責任は市町村にあります。
産廃にあたるか否かは、事業活動から生じることに加えて、同法及び施行令が定める種類に該当するかどうかで判断されます。具体的には、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物系固形不要物、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず(がれき等を除く)・陶磁器くず、鉱さい、がれき類、動物のふん尿、動物の死体、ばいじん、中間処理物に、輸入された廃棄物を加えた21種類です。
このほかに、事業活動から発生するが産廃に該当しない事業系一般廃棄物や、感染性を持つなど人の健康や生活環境に被害を与えるおそれのある特別管理廃棄物があります。
排出事業者責任が大原則~収集運搬や再生も「処理」
廃棄物処理法では「事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない(第3条)」とあります。産廃と事業系一廃の処理は、排出事業者が自らの責任において適正に行わなくてはなりません。これが「排出者責任」の大原則で、処理には自社による処理に加えて、委託による収集運搬、中間処理、最終処分及び再生等も含まれます。産廃を処理業者に委託して終わりではなく、排出事業者が最終処分までの全過程について責任を負う必要があります。
廃棄物処理法は、産廃の保管、運搬や処分の委託、処理、施設設置、情報公開、実績報告など一連の流れに関する基準や手続を定め、厳しく規制しています。排出事業者は発生した産廃を種類別に分別し、収集運搬するまで保管基準に従って保管します。自社処理でなく委託して処理を行う場合には、許可を持つ処理業者との間で事前に書面での契約書を交わすなどの委託基準を守る義務があります。委託時には、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付し、産廃とともに移動させることで、適正処理を確認します。
特管産廃の処理基準
爆発性や毒性など、人の健康や生活環境に係る被害を生ずる恐れのある特別管理廃棄物については、より厳しい基準が定められています。特別管理産業廃棄物(特管産廃)には、廃油、廃酸、廃アルカリ、感染性廃棄物、廃PCB等・PCB汚染物・PCB処理物、廃水銀等、重金属やダイオキシンを含む燃え殻・ばいじん―などがあります。特管産廃の保管時には、他の物と混合しないよう仕切りを設けたり、PCB等については容器に入れ密封する必要があります。また、処理に当たっては自ら特管産廃の処理基準に従って処理するか、特管産廃許可業者に運搬・処分を委託しなくてはなりません。さらに、特別管理産業廃棄物管理責任者を選任して、排出状況の把握、処理計画の立案及び適正処理の確保等の業務を行わせる義務もあります。
水銀使用産廃の規制
廃水銀等、水銀含有ばいじん等及び水銀使用製品産廃は、特別な対応が必要です。水銀使用製品産廃には、一次電池、蛍光ランプ、水銀体温計、農薬、医薬品・製剤などがあり、処理基準が設けられているほか、業の許可証、委託契約書及びマニフェストへの記載が義務づけられています。また、廃水銀等については保管、収集・運搬に関する措置及び処分基準(中間処理・最終処分)が、水銀含有ばいじん等について処理基準、委託契約書・マニフェストへの記載及び再生資源に係る利用の特例が、それぞれ定められています。
委託基準の遵守は必須~契約書の記載事項や添付書類にも注意
産業廃棄物(産廃)の排出事業者がその運搬・処分を委託する場合には、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)の規定に基づく「委託基準」を守らなければなりません。まず、処理を委託する相手が処理業の許可を持っていて、その事業範囲に委託する産廃の処理が含まれている必要があります。また、委託契約は書面で行い、収集運搬の委託は収集運搬業の許可所持者と、中間処理(再生含む)と最終処分の委託は処分業の許可を持つ者と、それぞれと個別に「二者契約」を結んで行います。さらに、委託契約書に記載する事項や添付書類も細かく決められていて、契約書及び契約書の添付書類は契約終了後5年間保存する義務があります。
特別管理産業廃棄物の処理を委託する場合には、委託先に特管産廃の種類・数量・性状・荷姿・取扱い上等の注意事項を、事前に書面で通知しなければなりません。
マニフェストで適正処理の流れを把握~一部事業者では電子マニフェスト使用義務化も
産業廃棄物管理票(マニフェスト)は、産廃の委託処理における排出事業者責任を明確化にするとともに、不法投棄を未然に防ぐために設けられた制度です。
排出事業者が産廃の処理を他者に委託する場合には、日付、交付者名、産廃の種類と量、運搬業者と処分業者の名称、取扱い上の注意事項などを記載した7枚綴りの紙マニフェストを交付し、産廃とともに流通させます。収集運搬業者はB2票を運搬終了日から10日以内に、処分業者はD票を処分終了日から10日以内に、E票を最終処分終了後に交付者へ送付します。
排出事業者は法令で定める期限内にこれらのマニフェストの写しが返送されていることにより、適正処理を確認します。具体的には、交付後90日以内(特管産廃は60日以内)に委託した産廃の中間処理(中間処理を経由しない最終処分を含む)の終了を、中間処理を経由する最終処分の場合には交付後180日以内に最終処分の終了を確認します。
なお、積替保管施設を経由する場合のマニフェストは8枚綴りです。
マニフェストには紙だけでなく電子マニフェストも存在します。こちらは写しの保存や報告書の提出が不要であるといったメリットがあることから普及が進んでおり、年間のマニフェスト数の8割以上が電子マニフェストとなっています。なお、特管産廃を年間50トン以上排出する事業者は、委託時の電子マニフェスト使用が義務づけられています。
排出事業者に実地確認の努力義務あり~条例で義務づける自治体も
排出事業者は、産廃の運搬・処分を他者に委託する場合には、当該産廃の処理状況に関する確認を行い、その発生から最終処分終了までの一連の処理行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならないとの規定があります。環境省はこの「確認」を、委託先の処理施設等を実地確認する方法であると、平成23年発出の通知により示しています。実地確認については、岐阜県などの自治体が条例により義務づけています。愛知県条例では、処理状況の確認を行っていない事業者に対する勧告・公表規定が存在します。他の自治体においても同様の条例がないか確認すると良いでしょう。
廃棄物処理法にはこのほかに、事業者が自ら産廃の運搬・処分を行う際に守るべき産廃処理基準、多量排出事業者による減量計画作成と都道府県知事等への報告、不法投棄の禁止などさまざまな規制があります。不法投棄などを行った者には5年以下の懲役か1,000万円以下の罰金またはこれらが併科され、法人の場合には最大3億円の罰金が科されるので注意が必要です。
📚 参考:廃棄物・リサイクル対策(環境省)http://www.env.go.jp/recycle/index.html
