7. 温暖化対策①:省エネ法と温対法による省エネ・温暖化規制とは
省エネ法:特定事業者に管理者選任や報告等を義務づけ
省エネ法は石油危機を機に昭和54年に制定され、工場・事業場を保有する企業による省エネの促進を主な目的としています。年間に原油換算で1,500kl以上のエネルギー(燃料・熱・電気)を使用する事業者を「特定事業者」や「特定連鎖化事業者」に指定し、エネルギー管理者の選任・届出、省エネ中長期計画提出、エネルギー使用状況の定期報告、電気需要の最適化などを義務づけています。省エネの取り組みは、国が告示で定める判断基準に基づき実施します。
特定事業者等の工場・事業場のうち前年度のエネルギー使用量が単独で1,500kl以上のものは、事業場ごとにエネルギー管理士やエネルギー管理講習修了者を選任しなくてはなりません。また、このうち製造業等5業種に該当し単体で3,000kl以上になる場合には、エネルギー管理者の選任が義務づけられます。選任や必要な届出・報告を行わない者、虚偽の届出や報告を行った者等には罰則があり、一部は両罰規定です。
複数の企業が連携して省エネを行った場合には、その省エネ量を企業間で分配して報告できる、連携省エネルギー計画の認定制度があります。
令和5(2023)年には大きく改正され、法律名に「非化石エネルギーへの転換等」が加わりました。バイオマスや水素など幅広い非化石エネルギーの使用量を定期報告書で報告する、非化石電気の割合の目標値を中長期計画書に記載するなどの義務が追加されています。
運輸やエネルギー消費機器も規制、建築関係は建築物省エネ法がカバー
運輸部門に関しては、トラック・バス200台以上、鉄道300両以上、タクシー350台以上、船舶2万総t、航空9,000tの輸送事業者を「特定輸送事業者」に指定し、省エネ計画の作成やエネルギー使用状況の定期報告などを義務づけています。また、荷主のうち年度間の貨物輸送量が合計で3,000万t・km以上の者を「特定荷主」に指定し、同じく計画作成や定期報告を義務づけています。
貨物の所有権を持つ荷主ではないものの、荷主が決定した輸送方法の下で、到着日時等を指示できる貨物の荷受側の事業者は「準荷主」とされています。準荷主はネット小売事業者を法の適用対象にするために設定されました。準荷主には貨物輸送に関する省エネへの協力を求める努力義務が定められています。
省エネ法はまた、テレビや自動車、コピー機などに関する規制も行っており、その柱となるのが「トップランナー制度」です。商品化されているエネルギー消費機器のうち省エネ性能が最も優れた機器の性能以上に高めることを製造や輸入業者に求める「トップランナー基準」を設定し、その達成を努力義務として定めています。
建築物に関する省エネ規制は、建築物省エネ法が担当しています。建築物省エネ法は、建築物に新築時等におけるエネルギー消費性能基準への適合義務と適合性判定義務を課し、これを建築確認で担保する仕組みになっています。従来この義務は「住宅部分を除く非住宅部分の床面積が300m2以上の建築物」のみに課せられていましたが、令和7(2025)年4月からすべての建築物へ拡大されました。この他、省エネ向上計画を認定する容積率特例、エネルギー消費性能の表示などに関する規定を整備しています。
温対法は特定排出者に温室効果ガスの算定・報告を義務づけ
企業の省エネ促進を主な目的とする省エネ法とともに、事業者の温暖化対策を促すための法律が平成10年に公布された温対法です。京都議定書発効を受けて平成17年に大改正され、温室効果ガスの算定・報告・公表制度が創設されました。温室効果ガスを大量に排出する事業者は「特定排出者」として、前年度の排出量を算定して報告する義務があります。エネルギー起源CO2については省エネ法上の特定事業者等・特定荷主・特定輸送事業者が、それ以外の温室効果ガスについては種類ごとに全事業所の排出量が合計年3,000t以上(CO2換算)で、常時使用する従業員が21人以上の事業者が報告対象となります。環境・経産大臣は事業者が報告した排出量情報を集計して公表します。
📚 参考①:省エネ法とは(資源エネルギー庁)https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/overview
📚 参考②:建築物省エネ法のページ(国土交通省)http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutakukentiku_house_tk4_000103.html
📚 参考③:地球温暖化対策推進法と地球温暖化対策計画(環境省)https://www.env.go.jp/earth/ondanka/domestic.html
